FAQ(相続編)
   

Q1    義理の母A(亡父Bの再婚相手)が死亡しました。

   AとBの間には、弟Dがいます。

          父Bの死後、Aの介護は私(相談者)Cが、ひとりでがんばりました。

          Dは、海外在住のため、音沙汰ありません。私はAの財産を相続できますか?
A1    Aの相続人は、配偶者と子になります。配偶者Bはすでに死亡していますので、

          AとBの子であるDが相続人になります。

    相談者CとAの間で養子縁組をしていれば、相談者Cも相続人になりますが、

   養子縁組していない場合は、Cは、相続人ではありません。

   しかしながら、Aの遺言書にCに財産を遺贈する旨が記載されている場合は、

          Cも財産を受け取ることができます。
 

Q2    伯母Aが死亡しました。伯母には、子供はいません。伯母の相続人は、誰ですか?
A2    配偶者がすでに死亡している場合、Aの直系尊属(親)が相続人になります。

          親がAよりも先に死亡している場合は、Aの兄弟姉妹になります。

          兄弟姉妹がAよりも先に死亡している場合は、甥姪が相続人になります。
      

FAQ(後見編)
   

Q1    認知症の母Aの財産を借金漬けの次男Cから守りたいのですが。
A1    Aさんの判断能力を医師に診断してもらいます。

   後見・保佐・補助いずれかの類型に当たる場合、Aさんの成年後見人等を

   家庭裁判所に選任してもらいます。

          Aさんの財産を成年後見人等が管理し、次男Cさんからまもることができます。
    

FAQ(遺言編)

Q1    そもそも遺言とは何?
A1    遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、

           最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示です。
         (なお、遺言には、非嫡出子を認知する等の身分上の事項に関する遺言も

   ありますが、このQ&Aでは、財産上の事項に関する遺言について述べる

   ことにします。)

         世間では、遺言がないために、相続を巡り親族間で争いの起こることが

   少なくありません。

            しかし、今まで仲の良かった者が、相続を巡って骨肉の争いを起こすことほど、

            悲しいことはありません。
         遺言は、上記のような悲劇を防止するため、遺言者自らが、

   自分の残した財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止しようとすることに

   主たる目的があります。


Q2   遺言がない場合は、手続きはどうなりますか?
A      遺言のない場合は、民法が相続人の相続分を定めています。

            よって、これに従って遺産を分けることになります(これを「法定相続」と

             いいます。)。
         ところで、民法は、例えば、「子及び配偶者が相続人であるときは、

            子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。」というように、

         「抽象的に相続分の割合を定めているだけ」なので(民法900条参照)、

           遺産の帰属を具体的に決めるためには、相続人全員で遺産分割の協議をして

          決める必要があります。しかし、誰でも、少しでも余分に、少しでもよいものを

           取りたいのが人情なので、自主的に協議をまとめるのは、必ずしも容易なことでは

           ありません。

        協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で、調停又は審判で解決して

           もらうことになります。これも、争いが深刻化して、解決が困難になる事例が

           後を絶ちません。

        遺言で、例えば、妻には自宅と○○○万円、長男にはマンションと○○○万円、

          二男には別の土地と○○○万円、長女には貴金属類と○○○万円といったように具体的に

          決めておけば、争いを未然に防ぐことができます。
           また、法定相続に関する規定は、比較的一般的な家族関係を想定して設けられて

         いますから、これを、それぞれの具体的な家族関係に当てはめると、

         相続人間の実質的な公平が図られないという場合も少なくありません。
          例えば、法定相続では、子は全員等しく平等の相続分を有しています。

         しかし、子供の頃から遺言者と一緒になって家業を助け、苦労や困難を共にして

         頑張ってきた 子供と、そうではなくあまり家に寄りつきもしない子供とでは、

         それなりの差を設けてあげないと、かえって不公平ということもにもなります。
          すなわち、遺言者が、自分のおかれた家族関係をよく頭に入れて、

         その家族関係に最も適した相続の仕方を遺言できちんと決めておくことは、

         後に残された者にとって、無用な争いを防ぐこととなり、

        とても有り難いことになります。

Q3  遺言の必要性が特に高い具体的な事例はありますか?
A     具体的な例を下記ⅠからⅦに挙げてみます。

    

Ⅰ  夫婦の間に子供がいない場合
       夫婦の間に子供がいない場合に、法定相続となると、夫の財産は、妻が4分の3、

         夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。しかし、長年連れ添った妻に

         財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。
          そうするためには、遺言をしておくことが絶対必要なのです。

         兄弟には、遺留分がありませんから、遺言さえしておけば、

         財産を全部愛する妻に残すことができます。


Ⅱ 再婚をし、先妻の子と後妻がいる場合
       先妻の子と後妻との間では、とかく感情的になりやすく、遺産争いが起こる確率も

         非常に高いので、争いの発生を防ぐため、遺言できちんと定めておく必要性が

         特に強いと いえましょう。


Ⅲ 長男の嫁に財産を分けてやりたい場合
       長男死亡後、その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には、その嫁にも財産を

          残してあげたいと思うことが多いと思います。
          しかし嫁は相続人ではないので、亡夫の両親の面倒をどんなに永い間みていた

          としても、子供がいない場合は、亡夫の親の遺産は、すべて亡夫の兄弟姉妹が

           相続してしまいます。

           遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないと、お嫁さんは何ももらえないこと 

          になってしまいます。


Ⅳ 内縁の妻の場合
       長年夫婦として連れ添ってきても、婚姻届けを出していない場合には、

         いわゆる内縁の夫婦となり、相続権がありません。
         したがって、内縁の妻に財産を残してあげたい場合には、

         必ず遺言をしておかなければなりません。
 
Ⅴ 個人で事業経営をしたり農業をしている場合
       その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと、

         上記事業の継続が困難となる場合もあります。

       このような事態を招くことを避け、家業等を特定の者に承継させたい場合には、

         その旨をきちんと遺言をしておかなければなりません。

Ⅵ 相続人が全くいない場合
       相続人がいない場合には、特別な事情がない限り、遺産は国庫に帰属します。
         したがって、このような場合に、特別世話になった人に遺贈したいとか、

         お寺や教会、社会福祉関係の団体、自然保護団体、あるいは、

         ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には、

        その旨の遺言をしておく必要が あります。


Ⅶ 上記の各場合のほか
      各相続人毎に承継させたい財産を指定したい場合や(例えば、不動産は、

        お金や預貯金と違い、事実上皆で分けることは困難な場合が多いので、

        これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう。)、あるいは、

        身体障害のある子に多くあげたいとか、特に世話になっている親孝行の子に

        多く相続させたいとか、可愛いい孫に遺贈したいとかのように、

        遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて、具体的妥当性のある形で

        財産承継をさせたい場合には、遺言をしておく必要があります。

Q4 遺言は、どのような手続きでするのですか?

 

A  遺言は、遺言者の真意を確実に実現させる必要があるため、

       厳格な方式が定められています。
     その方式に従わない遺言はすべて無効です。
     「あの人は、生前こう言っていた。」などと言っても、どうにもなりません。

        録音テープやビデオにとっておいても、それは、遺言としては、

        法律上の効力がありません。
        遺言の方式には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言という、

        3つの方式が定められています。 自筆証書遺言と公正証書遺言について、

        その概要と、メリット、デメリットを、次にQを設けて述べてみます。

Q5 自筆証書遺言とはどのようなものですか? 

 

A   自筆証書遺言は、遺言者が、紙に、自ら、遺言の内容の全文を書き、かつ、日付、

        氏名を書いて、署名の下に押印することにより作成する遺言です

       (すべてを自書しないといけません。パソコンやタイプライターによるものは

        無効となります)。
      自筆証書遺言は、自分で書けばよいので、費用もかからず、いつでも書けるという

        メリットがあります。
      デメリットとしては、内容が簡単な場合はともかく、そうでない場合には、

        法律的に見て不備な内容になってしまう危険があり、後に紛争の種を残したり、

        無効になってしまう場合もあります。
        しかも、誤りを訂正した場合には、訂正した箇所に押印をし、さらに、

        どこをどのように訂正したかということを付記して、そこにも署名

        しなければならないなど方式が厳格なので、方式不備で無効になってしまう

         危険もつきまといます。

      また、自筆証書遺言は、その遺言書を発見した者が、必ず、

         家庭裁判所にこれを持参し、相続人全員に呼出状を発送した上、その遺言書を

         検認するための検認手続を経なければなりません。

        さらに、自筆証書遺言は、これを発見した者が、自分に不利なことが

         書いてあると思ったときなどには、破棄したり、隠匿や改ざんをしたりしてしまう

         危険がないとはいえません。
       また、自筆証書遺言は全文自書しないといけないので、当然のことながら、

         病気等で手が不自由になり、字が書けなくなった方は、利用することができません。
       上記のような自筆証書遺言のもつ様々なデメリットを補う遺言の方式として、

         公正証書遺言があります。

Q6 公正証書遺言とはどのようなものですか? 

 

A     公正証書遺言は、遺言者が、公証人の面前で、遺言の内容を口授し、

          それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、

          公正証書遺言として作成するものです。 

          公正証書遺言は、法律的に整理された内容の遺言となりますので、

          方式の不備で遺言が無効になることがまずありませんし、

         原本が公証役場に保管されるため、遺言書が破棄されたり、

         隠匿や改ざんをされたりする心配もありません。

             さらに、公正証書遺言は、家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので、

          相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。
           また、自筆証書遺言は、全文自分で自書しなければなりませんから、

          病気等で自書が困難となった場合には、遺言をすることはできませんが、

          公正証書遺言は、公証人が作成するので、署名さえできれば、

          遺言をすることができます。
             このように、公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べて、メリットも多く安全確実な

          遺言方法であるといえます。しかし、遺言者にとっては、費用のかかることが難点と

          言えるでしょう。  
          当事務所は、公正証書遺言の作成のために、遺言者と公証人の間の

          調整等サポートをいたします。また、公正証書遺言には、

  遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが必要となりますが、

        証人が見当たらない場合にも当事務所にて対応させて頂きますので

        ご相談下さいませ。


Q7 遺言は、訂正や取消し(撤回)ができますか?

 

A    遺言は、人の最終意思を保護しようという制度ですから、訂正や取消し

      (遺言の取消しのことを、法律上は「撤回」と言います。)は、いつでも、

         また、何回でもできます。

       遺言は、作成したときには、それが最善と思って作成した場合でも、

         その後の家族関係を取り巻く諸状況の変化に応じ、あるいは、心境が変わったり、

         考えが変わったりして、訂正したり、撤回したいと思うようになることもあると

         思います。

         さらに、財産の内容が大きく変わった場合にも、多くの場合、書き直した方がよいと

         いえるでしょう。
          以上のように、遺言は、遺言作成後の諸状況の変化に応じて、いつでも、自由に、

         訂正や、 撤回をすることができます。
         但し、撤回も、遺言(その種類は問いません。)の方式に従って、

         適切になされなけ  ればなりません



Q8 財産を妻に相続させる遺言をしようと思いますが、もし、

   妻が私より先に死亡したらどうなりますか?

A  相続人や受遺者が、遺言者の死亡以前に死亡した場合

  (以前とは、遺言者より先に死亡した場合だけでなく、遺言者と同時に死亡した場合

   も含みます。)、遺言の当該部分は失効してしまいます。

       したがって、そのような心配のあるときは、予備的に、例えば、

  「もし、妻が遺言者の死亡以前に死亡したときは、その財産を、〇〇に相続させ

   る。」と決めておけばよいわけです。これを「予備的遺言」といいます。


Q9 親亡き後に備えることができますか? 
A 遺言信託で備えることが可能です。たとえば、A(親)は、

  唯一の子B(障がい者)に財産を承継させ、その子Bが死亡したら、

  甥のCに財産を渡したい場合、遺言信託で実現できます。

        また、信託契約を利用し、支援を必要とする子のニーズに合ったスキームを選択し、

     最良のものを組み立てることが可能です。


Q10 亡くなった人について、遺言書が作成されているかどうかを調べることが

         できますか?
A  平成元年(東京都内は昭和56年)以降に作成された公正証書遺言であれば、

         日本公証人連合会において、全国的に、公正証書遺言を作成した公証役場名、

        公証人名、遺言者名、作成年月日等をコンピューターで管理していますから、

        すぐに調べることができます。

      なお、秘密保持のため、相続人等利害関係人のみが公証役場の公証人を通じて

         照会を依頼することができることになっていますので、亡くなった方が死亡した

       という事実の記載があり、かつ、亡くなった方との利害関係を証明できる記載の

        ある戸籍謄本と、ご自身の身分を証明するもの(運転免許証等)が必要となります。


Q11 口がきけない方や,耳が聞こえない方でも,公正証書遺言をすることが

           できますか?
A  可能です。従前は、公正証書遺言は、遺言者が、「口頭で」公証人にその意思を

       伝えなければならず、更に遺言書作成後、これを「読み聞かせ」なければならない

      とされていました。

       しかし、民法の改正により、平成12年1月から、口がきけない方や、

        耳の聞こえない方でも、公正証書遺言をすることができるようになりました。

        したがって、口のきけない方でも、自書のできる方であれば、公証人の面前で

       その趣旨を自書することにより(筆談により)、病気等で手が不自由で自書の

  できない方は、通訳人の通訳を通じて申述することにより、

  公証人にその意思を伝えれば、公正証書遺言ができることになりました。

      この結果、もともと口のきけない方も、あるいは、

  脳梗塞で倒れて口がきけなくなったり、

       病気のため気管に穴を開けたりして口のきけない状態になっている方でも、

  公正証書遺言ができるようになりました。


Q12 遺言書作成に必要な書類は?
A 公正証書遺言を作成する場合は、以下の書類が必要です。
①遺言者本人の印鑑登録証明書
② 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
③ 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
④ 財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
⑤ なお、公正証書遺言をする場合には、証人2人が必要ですが、弊事務所にて証人を用意することもできます。

Q13 危急時遺言とは、どのようなものですか?
A 危急時遺言とは、死期が迫り署名押印できない遺言者が口頭で遺言をし、証人がそれを書面化する遺言の方式です。病気などで死に直面した人に認められる一般危急時遺言と、船舶の遭難である場合に認められる船舶遭難者遺言が法律で定められています。

作成要件
(1)証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授する。
(2)口授(口がきけない人の場合は通訳人の通訳)を受けた証人がそれを筆記する。
(3)口授を受けた証人が、筆記して内容を遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させる。
(4)各証人が筆記の正確なことを承認した後、遺言書に署名し印を押す。

家庭裁判所による確認
 遺言の日から20日以内に、証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求して、遺言の確認を得なければなりません。家庭裁判所は、遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができません。(民法976条4項)

一般危急時遺言の失効
 遺言者が普通方式によって遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、無効となります。(民法983条)
・・・・・・・・・・・
 難船危急時遺言とも言われます。船舶の遭難という緊急事態を想定して定められた遺言形式です。

作成要件
(1)証人2人以上の前で、口頭(口がきけない人の場合は通訳人の通訳)で遺言をする。
(2)証人が遺言の趣旨を筆記して、署名印を押す。なお、遭難が、止んだ後、証人が記憶に従って遺言の趣旨を筆記し、これに署名・押印しても差し支えない。

家庭裁判所による確認
 証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求して確認を得なければ、遺言は効力を生じません。(民法979条3項)

船舶遭難者遺言の失効
 遺言者が普通方式によって遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、無効となります。(民法983条)

隔絶地遺言とは、遺言者が一般社会との交通が断たれた場所にいるため、普通方式による遺言ができない場合に認められる方式です。伝染病隔離者遺言と在船者遺言が法律で定められています。
 一般隔絶地遺言とも言われます。法文上は伝染病となっていますが、伝染病による場合だけでなく、広く行政処分で交通を断たれた場所にいる場合に認められた遺言方式です。

作成要件
(1)警察官1人及び証人1人以上の立会いがあること。
(2)遺言書は遺言者が作成する。
(3)遺言者、筆者、警察官及び証人が署名し、印を押す。
なお、家庭裁判所の確認は不要です。

伝染病隔離者遺言の失効
 遺言者が普通方式によって遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、無効となります。(民法983条)

 船舶隔絶地遺言とも言われます。船舶中にある場合に認められた遺言方式です。
作成要件
(1)船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いがあること。
(2)遺言書は遺言者が作成する。
(3)遺言者、筆者、立会人及び証人が署名し、印を押す。
なお、家庭裁判所の確認は不要です。

在船者遺言の失効
 遺言者が普通方式によって遺言をすることができるようになった時から6ヶ月間生存するときは、無効となります。(民法983条)